「鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)」は、鎌倉初代将軍源頼朝ゆかりの神社として全国的に知名度が高い、鎌倉を代表する神社です。この神社は四季を問わず常に多くの参拝者で賑わっています。私がこの写真を撮ったのは2009年の晩秋です。境内の「隠れ銀杏」が黄葉したとの情報を得て、始発電車で訪問しました。現地入りすると果たして情報通りで、大銀杏は見事に黄葉しており夜明け前の境内にはお勤めの神官以外は誰もおらず、厳かな空気が漂っていました。やがて夜が明けて、朝陽が大銀杏を照らし始め、神官が階段を上がるタイミングでケーブルレリーズをパチリ。日中の鶴岡八幡宮の賑わいからは想像もできない、厳かな風景を切り取ることができました。
ただ残念なことに、この大銀杏は2010年の3月に強風で根元から折れてしまい、今はもうこの風景を見ることはできません。鴨長明による鎌倉時代の随筆「方丈記」に『ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし』という有名な一節がありますが、まさにこの言葉通りの世の無常を感じた出来事でした。
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